リスニングの鬼門と言えばパート3、パート4の長文問題ですよね。
まじめに勉強してリスニング力は上がっているはずなのにパート3、パート4のスコアが伸びない、という人もいると思います。
実はパート3、パート4は英語力だけではなく、解答のテクニックが必要なパートです。
今回は「先読み」という解答のテクニックの話をします。
先読みとは?
パート3は会話、パート4はトークを聞いてそれに関する設問に解答します。
設問と選択肢は問題用紙に印刷されています。
先読みとは、その名の通り「会話(トーク)が始まる前に設問や選択肢に目を通しておく」ことです。
なぜ先読みが必要か?その3つの理由
①場面設定を知るため
パート3、パート4はどんな状況で誰が話しているかもわからない中で会話(トーク)がスタートします。
日本語でもシチュエーションが分からない中で話を聞くのは難しく、かなり集中しなければなりません。
設問、選択肢を先読みすることで、これから読まれる会話(トーク)がどんな場面なのかをある程度想定できます。
②設問に集中するため
TOEICは選択問題です。たとえ会話(トーク)の内容を正確に聞き取れていても、設問に解答できなければ評価されません。
「正確に内容が聞き取れれば正答を選べるだろ」
と思う方がいるでしょう。甘いです。
TOEICのリスニングは1度しか読み上げられません。会話(トーク)が終わって初めて設問を見た時に、「あ、このことについて話していたな」という感覚があっても、「でも何て言ってたっけ・・・」となることがよくあります。
会話(トーク)は比較的長い文章です。全ての内容を一字一句正確に覚えるのは不可能です。
設問の先読みをすることで、覚えるべき情報にフォーカスして聞くことができます。
先読みをしないと、純粋な英語力に加えて、暗記ゲームの要素が含まれるため、難易度が上がってしまいます。
③TOEIC公式でも先読みが推奨されている
「公式プラクティス リスニング編」というTOEICの運営団体が発行している参考書があります。リスニングの各パート別に学習ができるのですが、パート3とパート4のポイントとして下記2点が含まれています。
- 会話(トーク)が放送される前に3つの設問を読み、設問の解答に必要な情報に注目すると聞き取りやすくなります。
- 余裕があれば、設問に加え選択肢にも簡単に目を通しておくと、その情報が会話(トーク)の理解の助けになることがあります。
これはまさしく先読みのことです。先読みは公式で推奨されており、必須のテクニックであると言えます。
先読みのやり方
私の先読みのやり方を紹介します。
基本的な先読みの方法
まずパート3(パート4)が始まると、1問目の前にそのパート全体の説明文が読み上げられます。
この時間に1つ目の会話(トーク)の設問3つとそれぞれの選択肢合計12個を読み、よく理解します。
できるだけ多くの会話(トーク)の設問に目を通すことを推奨している人もいるようですが、私は1つ目のみを推奨します。
そんなに先の方の問題に目を通しても覚えきれません。むしろ、1つ目の会話(トーク)が始まる直前に別の設問に目を通していたせいで、1つ目の設問が頭から抜けてしまう恐れがあります。
1つ目の会話(トーク)の解答が終わったら、2つ目の会話(トーク)が読まれるまでの短い時間で、2つ目の会話(トーク)の先読みを行います。
ここでは、基本的には3つの設問文だけに目を通し、選択肢は読みません。
短い時間で選択肢にまで目を通すことが難しいためです。
ただし、選択肢が2、3単語しか並んでいないような短い場合は選択肢にも目を通します。
3つ目以降の会話(トーク)の先読みも同様に行います。
先読みの例
では例を見てみましょう。次のような設問と選択肢が並んでいるとします。
1. What type of business is the woman calling? (女性はどんな事業所に電話をしていますか)
(A) A bookstore (書店)
(B) A newspaper (新聞社)
(C) A repair shop (修理屋)
(D) A furniture factory (家具工場)
2. Who is the woman? (この女性は誰ですか)
(A) A business owner (事業主)
(B) A news reporter (ニュースレポーター)
(C) A receptionist (受付)
(D) A history teacher (歴史教師)
3. What problem does the woman mention? (女性はどんな問題について話していますか)
(A) An item was not delivered. (商品が届かないこと)
(B) A product is no longer available. (商品がもう手に入らないこと)
(C) Some streets were closed. (閉鎖されている通りがあること)
(D) Some information was incorrect. (間違った情報があること)
設問1
まず設問1を読みます。
「woman」「calling」という単語で女性が電話していること、また電話の相手がおそらく男性であるという状況を読み取りましょう。
集中する情報は女性がどこに電話をかけているかです。
選択肢を見ると短い選択肢が並んでいますので、全ての選択肢に目を通しましょう。
設問2
次に設問2を読みます。シンプルな質問ですね。
女性がどんな属性の人か、に集中しましょう。
選択肢を見ると短い選択肢が並んでいますので、全ての選択肢に目を通しましょう。
設問3
次に設問3を読みます。「problem」「woman」「mention」という単語から、女性が苦情の電話をしている場面であるとわかります。
苦情の内容に集中しましょう。
選択肢を見ると短くはない選択肢が並んでいます。無理をして選択肢を読む必要はありません。
もし時間があるようなら(A)(B)の選択肢に目を通し、こういう内容の話になる可能性があるんだな、という程度の認識でいましょう。
以上の先読みにより、この会話は女性が苦情の電話をしている場面であり、女性がどこに電話をしているか、女性がどんな属性なのか、女性がどんな苦情を持っているのか、にフォーカスすればいいことがわかります。
何の情報もなしに会話を聞くよりもはるかに聞きやすく(解きやすく)なりますね。
パート3、パート4を解くときのアドバイス
その他、私がパート3、パート4を解答する際に頭に入れていることを紹介します。
リスニング中に目を閉じない
たしかに目を閉じたほうが読み上げられる文章に集中できます。
パート2を解く際には目を閉じてもいいですが、パート3、パート4は問題用紙に設問が載っています。目を開けて設問と選択肢を俯瞰しましょう。
耳に集中しつつ目から設問の情報を得て、解答の根拠が読まれたらすぐに反応できるようにしましょう。
答えがわかった時点でマーク
会話(トーク)と会話(トーク)の短い時間で先読みを行うと言いましたが、この時間をできるだけ長くしましょう。
バカ正直に会話(トーク)が全て終わってから設問を一つずつ解くのではなく、解答がわかった時点でリスニングの途中であってもマークしてしまいます。
これにより、うまくいけば会話(トーク)が終わると同時に次の会話(トーク)の先読みに移ることができます。
解答に悩まない
答えがわからなかったとしても、リスニングをもう1度聞けるわけではありません。いくら考えたって無意味です。
「わからなかった」と割り切って適当にマークし、次の会話(トーク)の先読みに進みましょう。
先読みの仕方まとめ
- 先読みは次に読まれる設問、選択肢についてのみ行う
- 基本的には設問だけ、選択肢が短ければ選択肢も先読みする
- 設問の先読みから話の場面をイメージする
- 設問の先読みから押さえるべき情報を認識する
今回は先読みの仕方を紹介しましたが、そもそもリスニングの内容がわからなければ解けません。先読みが間に合わなくても、会話(トーク)が始まったら読み上げられる文章に集中しましょう。
コメント
はじめまして。Part3,4の対策について、いろいろ見ましたが、のびたさんのご説明がいちばんよくできていると思います。Part3,4がもし日本語でおこなわれていたとしてもたぶん私は満点をとれないはずです。なぜならば英語力の問題というよりも、記憶力が問題にされているような気がしてならなかったからです。コンテンツにストーリー性が薄いせいもあるでしょう。のびたさんの解説でたぶんすべてクリアになりました。深く、深く感謝申しあげます。大げさに言えば命の恩人?
あらじーさん
コメントありがとうございます。そんなに褒めなくて大丈夫ですw
ちょうど先週の土曜日にNHKの「テストの花道」というマイナー番組を観ていたら、センター試験のリスニング対策について特集していました。そこでもテスト前の注意事項等が読み上げられているときに、問題文や選択肢に目を通してポイントになりそうなところをあらかじめチェックしておく、という方法が紹介されていました。TOEICは問題用紙に書き込むことが禁止されていますが、やはりポイントを絞って聞かなければ覚えられませんよね。
ただ、「先読み」とか「聞くポイントを絞れ」とか言うのは簡単ですが、やるのはかなり難しいです。私はあくまでも方法(考え方)を紹介しただけです。先読みの練習は集中力が必要なので大変だと思いますが頑張ってください。